江戸伝統文化推進 燈虹塾

 江戸の文化は,天正18年(1590)に徳川家康が江戸に入り,慶長20年(1615)の大坂夏の陣を終えて元和偃武を迎え,人々は戦いのない平和な時代を体感することをできたことに始まる.関東では享徳の乱以来150年におよぶ戦国時代が終止符を打った時である.江戸に元からいた人々に加え,各地から集まった多くの人々により江戸の街が形成されていった.そのためには,日比谷入江が埋め立てられ,玉川上水が敷設され,河川と湊が整備され,食料確保のために新田開発がなされた.江戸の市民の間には,文化の花が徐々に開いてゆき,天明・寛政,そして文化・文政の時代には見事に花開く.そして,その多くが今日に継承されている.
 江戸を象徴する文化として,歌舞伎,声曲,俳諧,狂歌,書,浮世絵,出版,祭礼,吉原,香,茶,食,相撲,神社仏閣,儀礼,火消,魚河岸,商家などを挙げることができる.これらは互いに関係しあう要素文化であり,ネットワークを作っている.これを媒介するのは,人そのものである.中心地域は下町であり,具体的には,浅草,上野,神田,両国,深川など,隅田川に面した地域である.
 これらの個々の類縁文化どうしを関連づけ,その中心に吉原を据え,俯瞰的に眺めることによって江戸の文化を総合的に知ることができる.しかし,長い歴史の中で吉原は様々な制約の中で変化してきた.吉原を改めてその中心に置きなおし,個々の類縁文化との関わりを考え直せば,吉原が最も文化の香りが高く,文化を発信し続けた場であったことが分かる.
 浅草,吉原に縁のある人が集まり,江戸の文化を改めて調査し,理解し,保存し,愛で,普及する役目を担わない限り前に進まない.軽挙妄動することなく,歴史が教える事実に基づいて,明るい面と暗い面の双方を理解して普及してゆく必要があり,我々に課せられた役目は大きい.
                       2018.10.11.
                       江戸文化推進燈虹塾
                       代表 日比谷孟俊